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Reason01:演説

キャプター/ ???

午後3時、Hotel 666号室、室内にて。

机に座っている白衣を着た若い男が、一人呟きながら新聞紙を見ている
「へぇ、リン・ロッグ…『若いらしいのにこんな弁護士』なるほど、うちでも働いて欲しいくらいだ。」
「最近、ハウスが煩くってな、アイツ、クビにしようと思ってる。」
若い男は小さくため息を付くと、その部屋のドアが開かれ、
先ほどハウスと呼ばれた男が、若い男に向かって騒々しく捲くし立てる「大統領…!お時間です!あと30分で演説会です…!」

_騒がしい街中を、一際目立つブロンド髪の若い男がとぼとぼ歩いている。
その男は時折、自分の手にしている紙切れを見つめ、何やら思案している。

『このチケット、先ほど演説会があると聞いて貰ったのですが、そのくれたタクシーの運転手が、『お偉いさんの演説会だから見に行ってご覧よ、僕は行けなくなったのでね』と言ってくれたのですが…』

「ここでしょうか……?」

男が、お目当ての目的地まで到達すると、さらに煩く、街の人々が何やら集まっていた。

「えーごほん。んーっと…。」
先ほど白衣だった男が、スーツ姿の麗しい好青年のように、身なりを整えて壇上へと上がっている。 「えー静粛に、静粛に、皆さん。」
その声は届くはずも無く、この会場内をさらに騒がしくするだけだ。

『あの人でしょうか?黒いスーツ姿の若い男性、私より年下かな?』

「ちょっと、見えないわ!どけて!」
初老風の女性が前に居たブロンド髪の男を煽る。
「わわわっ…!」
ブロンド髪の男は、バランスを崩し、前へと押しやられてしまう。

「若いわねえ、新任の大統領ですって」
「ああ、昨日当選した」
「新聞の号外に一面だったわ!」

『なにやら私は場違いなのではないでしょうか、演説なんて、興味は無いのですが…』
内心告白すると、《折角ここまでやってきたのだからチケットを無駄にしまい》そう決意したとき、スーツ姿の男が話し始める。

「えーごほん、」
しーんと静まり返る演説場、少し時間が経っただろうか
誰もが彼に注目している。

「あの大統領話すつもりあるの?」
「さあ?原稿、忘れたんじゃない?」
「わははっ若いなー」
群集は、これまた好き好きに言い合いを始める

「なんだか不謹慎です」
興味がないと思っていたが、何となく自分の良心を傷つけられたような気がして反論する。

『あーーくっそ、イライラする。原稿忘れたし、メモ書きも汚い字で全く読めねぇ、 もういい、できるだけ暗記してたほうの自説だけ話そう』

「ごほん、ごほん…

ヒーローであるには…、

ヒーローであるには。」

「何やら演説が始まりました」

「何かを一度、破壊してしまわないといけない気がするんだ
この腐った世界を!一旦元に戻す!
そして再構築するんだ!枠組みを少しずつ変えて再建する

しかしそれは所々、自分と言うエゴにまみれた世界なんじゃないかって、俺は渋っている

破壊したものを再構築するには
かなりの労力と資本が必要になる!
だがそれは必要必須なことだ!

俺は思う!
故に俺は願う!
そして実行する!

誰かが神に祈るように
全てを神に託すことはできない
俺は俺を背負っている

俺は先人がそうしてきたように、USを神の荷が軽くなるような国を作りたい
武器や麻薬は禁止だ
取り上げる、銃は警察以外の何者も使ってはならない

魔導のないUSを平和の象徴へと
俺は神にこの国を昇華させたいと願う

ご静聴頂き、有り難う諸君」

「おっと、俺の名前はウッドロウ・ウルフィー、昨日当選した新任大統領だ、以後、お見知りおきを。」
ウッドロウはニッと笑うとその場を後にした。

「すごい!すごい!かっこいい」
幼い子供が反応する
「ヒーローだって」
「ふむ、若いのになかなかの演説じゃない」

「すごいです…。若いらしいのにあんな演説、US人として誇りに思います。」
目を輝かせると同時に、何だか、涙脆く泣けてしまう
というのも、昨日、弁護士を辞めたこの男、リン・ロッグは、救いの無いこの国に絶望を抱いていたのだ。
「新任の…まさにヒーローですね…」

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