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Reason02 : 開発班にて(前篇)

キャプター/ウッドロウ

朝、目覚めると天井を凝視し、その装飾の豪華さに感心しながらベッドを抜け出す。
白シャツ、下着、ズボンに白衣を身に纏うと自分のやるべき仕事を思い出す。
朝は朝食を摂らないが目覚めのコーラを一気飲みすると、炭酸が口の中で暴れ、食道を通り、胃の中でそのまま消化される、重苦しいカーテンを開き朝日を浴びる。

この一連の動作に深い意味はないがこれらは大切な支度である。
 

何せあの煩く、尖った連中ばかり居る自分の職場では、「目覚めるというのはとても重要なこれも仕事」である。

階段を上から降りていく、そして渡り廊下を渡ると、それを右に曲がり真っ直ぐに自分の持ち場へと歩いていく。

開発班の中の丁度ドアから入ったら真っ直ぐ奥にあるリーダー専用の机と椅子、それが俺の決まった場所である。

「あれ、元帥が一番?はやいね〜」

シャルル・マーガレット・ドイル、胸まである栗毛のウェーブのかかった俺より随分背の低い女の開発班の一員、
18歳で大学の首席を卒業して俺らに引き抜かれた優秀な筈の才女というやつか?

先ほど元帥と呼ばれた俺は、シャルルを一瞥すると少し溜息をついて班内へと誘う。

「さっさと座れ、あと25分」
「わかってるよー、あと25分もあるじゃない?他の人たちは?」
「恐らく、遅れてくる」

それは最悪な職場ね、とシャルルは俺の返答に口答えすると黒板の前のテーブルのいつもの自分の定位置へと腰を下ろす。

……そうだ、その通り、ここは最悪な職場なのだ。

ジジジジジ!!鐘が鳴り、定刻通り午前中の仕事が始まると、そこへソソクサと遅れてやってきたメンツ、8人ほどが集合する。

「お前ら、遅かったな、もう仕事なら始まってるぞ……」
「あれ、元帥は黒板にまだ今日の日付すら書いてないじゃないですか、これじゃ本日の仕事も始まらないですね?」

薄いブロンド髪の俺より2歳年上の23歳の男、アダムス・ジーンが忠告する。

「ひっど〜〜い!元帥はスペルすら書けないって知らなかったの〜?」
「うるせぇ!シャルル、余計な御世話だ!」

「数字くらい、書け、る……」

赤面した顔を見せまいと黒板に背を向けて今日の日付、「4/6」をチョークで書きなぐる。

「元帥、ごめんなさい、今日は4/9、です……」

 

間髪入れずに女の開発メンバーのセイラ・タラントが俺の誤解したスペルミスを発見すると、シャルルの耳に手を当ててコソコソと何か呟く。

「ほら、わかってないわ……」

「うっ……くぅ……」

「今日の開発作業はこれでお終いだ!!」

「お前らはもう社宅に帰って寝てろ!!」

俺はチョークを黒板へ投げ付け、ガシュッと嫌味な音を立てるとさっさと白衣を脱ぎ捨て、自分の机に被せ置いた。

見られて嫌な物など何も無い

恥じらいがイライラに切り替わると
もう、本当にダメなんだから、と後ろの方で聞こえたが無視をし、班内から退出する事にした。

「こんな仕事、やってられるか!」

捨て台詞を吐いて俺は自室へと引き篭もった。

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