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Reason03:二度目の出会い、しかも横暴な

キャプター/リン

「弁護業、やめてしまいました。新しく軍に入ったのですが、防衛班、ですね」

あの日、大統領演説を見た後、私は程なくして軍へと入った。
もともと政治や軍隊には興味がなかったのだが、
なんとなく受けた軍への面接が受かり、そこで資料作成をすることが日課となっていた。

「えっと、書類、これですね?そうそう、移民の名簿資料を元帥室に……はい、ええ、もちろん少し楽しみなんです。
 開発班のリーダーって、どんな方なのだろう?ふふ、 何せ『初めて会う方』なのですから、ご挨拶しなくては……」

私は防衛班での一仕事を終え、元帥室へと持って行かなければならない資料の山を手渡され、
なんだかとても持ちにくいそれらを、言われた部屋へと運んで行った。

コンコン……
 

「あれ?居ませんね」

軍事基地内にある三階の元帥室が静まり返っているが、ここには居ないのだろう。
すると私は反対側の、二階の西側にある、開発班のドアの前で待つことに決めた。

「だから……!!このスペルはこれで合ってるんだよ…!!ごちゃごちゃ言ってんじゃねーぞ!!」
 

ドンッッッ……!!

「ひゃっ……!」
 

室内から何かがぶつかる音がし、私は身体をビクッとさせ、怒鳴り声のあまりに、悲痛な叫び声を発した。
ーーガラッとドアを開ける、そこにはーー

「あっ!あなたは……!」
「あん?何だてめー、そこどけろよ!」

――レッドブラウンの髪色の、肌の白い、隈の酷い人だと思った、眠れていないのかしら――

「えっ、私…?ああ、すみません、今移民の名簿資料を元帥室に、と…わぁああ」

そう言ったのもつかの間、足元を掬われバサバサと物音を立てながら
懸命に書ききった名簿資料を床へと散らばしたのだ。

「お前、蹴られてぇの?違う?開発室の目の前で、資料まき散らすなよ、面倒だな」
「ご、ごめんなさい!ウッドロウ大統領……!」」
「ん、なんかどっかで見たことある顔……」

私は目前の(おそらくこの班のリーダーだと思われる”ウッドロウ大統領に”)
まじまじと見つめられ、なんだかとても張り詰めた面持ちで、身体を強張らせた

(こんなに怖い人だったなんて!聞いていない!!)

脚や腕なんかは既にガタガタと震えている……。
(あんなに素敵な大統領が、こんなにも、こんなにも……!!)

「あ。どうでもいいけど、俺はここでは大統領じゃなくて”ウッドロウ元帥”って呼ばせてるから、新入り君は、覚えとくんだな!」

「あ、あと、お前、どこの班?」
「防衛班、です…資料を作成しています……」
「ふーん、そう、またな」

ウッドロウ大統領、いえ、元帥は、私に背を向けると速足でその場を立ち去った。

……なんだか、私にとっては、
それはそれは最悪な第二印象だった。

「こんなにたくさんの資料、どうしよう……」

ただただ愕然とし、先ほど落とした資料をたった一人で拾う作業を私はする羽目になったのだった。