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リン’S NOTEBOOK 001

夢とあなたへの手帳

倫理からの転落と浅ましき健気さ
お前は既にこちら側の人間

届かぬ願望と失意の波に飲まれ 天は堕落し今に至る
夢を見た、
移れば変わる、世の習いを
この情勢も何時転落するか解らない
劣位な情操と優位な戦局に措いて、変わらぬ
普遍的な価値観

「神観」
ちっとも今風でなく、ちっとも古風家でない
「我々はすべからく人命を尊重すべきである 」
どんな迎合主義者でも、一度聞けば聞き分けの良い子供同様、得心(とくしん)すべき価値観である

身近なものに例える
尊敬すべき人を仰ぎ見、心のオアシス化す
そんな日々を待ち望む
メシア

もしそんな存在があるのなら私は一度は顔を伺いたい

「あなた」 そして 「私」

対極的に懐柔する二つの存在は
時に鬩(せめ)ぎ合い、時に規律を乱し
互いに干渉することなく未だ平静を保っている
籠絡(ろうらく)されたいと願う
甘い言葉で、過激な暴力で……

神にもサタンにも

ここまで書いて私は筆を擱(お)き、ふと目の前にある鏡台に目をやり暫く見つめてみる。
良く澄んだ曇りのない瞳を捕らえる 、それは少しも焦点がずれることなく
真っ直ぐに自身へと跳ね返される。

私はそれを、自身への自己愛だと決定付けてみる。
この日記も夢の記述や、 浅ましい自身の存在価値を提示するための記録帳でしかない何の意味もないのだ。
答えの出ない葛藤など迷宮入りだ答えの欲しい自身は開拓者だろう

鬩ぎ合う、二つの心
もっと もっと
足らぬ心に愛を

うつらうつらとしてきた
夢を見たばかりの頭で考え、記述し、列挙するには少し早い時間帯だ
朝の5時30分、時計を見やり、おお、しかしそろそろ仕度をせねばなるまい
眠い頭でも判断は素早く下される。

あの人が待っている。そして朝一番に会うのは、心が躍る毎日の私のささやかな楽しみであり、習慣である。 こうして書いた手帳は、何時かあなたに見せれたらな、
しかしそれも 気恥ずかしいな と自分で消化する以外にないのだ

私が行う小さな暴力である

私は既に、あなた側(堕天)の人間

リン・ロッグ
プロローグ/夢とあなたへの手帳